ショックについて
今回はショックについて説明していきます。
ショックとは、重度の感染症、脱水(暑さ、嘔吐、下痢)、出血による血圧低下、アナフィラキシーショック、不整脈など様々な原因により、血液がうまく循環せず、全身で酸素が不足し、臓器がダメージを受けてしまう状態です。
これらの原因に対し、感染症の治療、血圧を上げるための点滴、水分を急速に補給するための点滴、アナフィラキシーショックの反応を抑える薬の投与といった治療が行われます。
実際に飼い主様がわかりやすい動物の異常としては、粘膜の色が薄い、眠そうにぐったりしている、吐くといった異常があります。
ただ、飼い主様がなんとなく動物の状態が悪いと感じ、いきなり粘膜の色を見ても焦ってしまい冷静に判断できないといったことが多く、日ごろから確認しておくといざという時に確認しやすいでしょう。
ぼーっとしている、あるいは寝てしまっている状態というのは、意識レベルに異常があるため、危険なショック状態であると考えられます。
では実際に当院に来られたショック状態の子の事例を紹介します。
2歳のポメラニアンの男の子が嘔吐し、元気がないとのことで来院されました。
体温は正常、粘膜の色は薄いピンクで、意識状態がぼーっとしており、初めて診た印象としては大人しそうに見えるといった様子でした。(普段はかなり活発な子との事でした)
呼吸の様子に異常はありませんでした。
レントゲン検査では異常を認めず、超音波検査では胆嚢浮腫(たんのうふしゅ)を認めました。
胆嚢浮腫は右心不全や呼吸に問題がある場合やショック状態などで認められます。
血液検査では脱水が重度に進んでいることがわかりました。以上の所見より脱水が重度に進みショック状態であると診断しました。そこで、静脈点滴、ショック状態を改善する薬、嘔吐を抑えるお薬を投与し、翌日には元気になりました。
上の画像が実際の超音波検査の画像になります。
このように、ショック状態は命に関わる状態ですので、正確に動物の状態を把握し、治療することが大切です。