尿道閉塞
<はじめに>
あなたの猫が、急にトイレに何回も行くようになったということはありませんか?
尿を出すのに苦労したり、鳴いたりしていませんか?
このような時は下部泌尿器の疾患に罹っているかもしれない。
それは多くの場合、尿道閉塞や、特発性膀胱炎の形をとることが多い。
猫の尿道閉塞(UD)は尿道の突然の閉塞を意味し、基本的にどんな猫にも起こる可能性があるが、
ほとんどは雄に起こることが多い。
それは結石によって起こることが多いが、たいがいの原因は炎症による細胞塊や結晶によって形成されたものが、
詰まる事である。
この状態は猫によくみられる特発性膀胱炎(FIC)の際に起こることがある。
FICは下部尿道に影響を与える未知の原因によって起きる炎症のことである。
FICの発生に関与している要因にはつぎのようなものがある。ウィルス、食餌(ミネラル分の多いドライフード)
ストレス、お産、遺伝的要因(長毛種に起こりやすい)、などがそうである。
<どんな事に気をつけるか>
ふつう尿道の感染や、尿道閉塞を起こしている猫は、その不快感によって、典型的な徴候を見せる。
つまり、何度もトイレに行って長い間おしっこを出そうときばっているが、実際に出た尿は非常に少ないのである。
この状態になった猫は生殖器の周りをひんぱんに舐めるようになり、トイレ以外の場所でも排尿するようになる。
このとき、場所によっては尿中に血液が見られることもある。
こうした徴候を便秘と間違えてはいけない。
もし、次のどれかの症状に気づいたら、あなたの獣医師に相談してください。
・尿に血液が混じる。(血尿)
・排尿動作の増加
・尿を出そうときばる。
・排尿時に苦しそうな声で鳴く。
・生殖器の周りを頻繁に舐める。
・不適切な場所での排尿 バスタブやシンクのような、冷たくて平坦な場所でする事が多い。
完全に尿が出なくなってしまうと、48時間以内に生命を脅かすような救急状態へと発展する可能性がある。
次に述べるような徴候が救急状態を表しており、直ちに獣医師に受診しなければならない。
・しばしば排尿しようとするが、何も出ない。
・不活発
・食欲減退
・嘔吐
・動くのをいやがる
<獣医師によるケア>
あなたの獣医師は猫が抱えている問題を診断するために、完全な身体検査を試みるだろう。
それに加えて、いくつかの診断テスト、尿検査や、腹部レントゲン、あるいは超音波が必要となるかもしれない。
あなたの猫に対して行われる治療はまず、カテーテルによる閉塞の解除(長くてやわらかいチューブを挿入すること
による。)であり、次に滅菌した液による膀胱内の洗浄が行われる。
これらの処置には鎮静が必要である。
あなたの獣医師はまた、痛みやれん縮を抑える薬物を処方するだろう。
<予防的ケア>
尿道閉塞の発生や再発を少なくする、あるいは予防するため、あなたに出来る事がいくつかある。
それには次のようなものがある。
・あなたの猫がいつでもきれいなトイレで排尿できるようにしてください。
・清潔で豊富な水を用意してください。猫が水を飲みやすくするための滝のような製品がいくつかの会社から
出されている。
・適切な食餌によって、あなたの猫が健康的な体を維持し、肥満を予防する手助けをして下さい。
・もし可能であれば、缶詰フードを食べさせてください。
・環境の変化を出来るだけ減らし、猫に与えるストレスが最小限になるよう、心がけてください。
・爪とぎ器や登るおもちゃ、追いかけるおもちゃ等を与え、家に新しい動物を持ち込まないで下さい。
・あなたの猫に再発する徴候がないか見守ってください。
・完全に尿が出なくなると、48時間以内に生命を脅かす救急状態へと発展する可能性がある。