甲状腺機能亢進症
<はじめに>
もしあなたの飼っている成猫が、よく食べるにもかかわらず、急にやせ始めたら、内分泌の問題、とりわけ甲状腺で
生産されるホルモンに問題があるかもしれない。
そういう時はあなたのペットを動物病院へ連れて行き、猫の甲状腺機能亢進症の検査をしてもらったほうが良い。
猫の甲状腺機能亢進症というのは、猫でよく知られた疾病である。これが起きる原因は、甲状腺の一方あるいは両方
に、良性の拡大が起こり、(肥大あるいは腫瘍) 甲状腺ホルモンが異常に大量に生産されることにある。
甲状腺がこのように拡大するのは、甲状腺腫や、腺腫性甲状腺腫と関係がある。
どのような原因で甲状腺が拡大するのかは分かっていない。
甲状腺は蝶のような形をした二つの葉から成っており、それぞれが気管、あるいは喉頭の両側で、ちょうど声帯の
上に位置している。これらの葉は平坦なので、手で触っても分からない。甲状腺は体の代謝の速さを調節する機械
のような働きをしており、体の機能を早くしたり、遅らせたりしている。
甲状腺ホルモンが増えると、猫の代謝が早くなるので、甲状腺機能亢進症はいろいろな内蔵の機能に影響を
与える可能性がある。
この病気は普通高齢の猫(少なくとも9歳)に見られることが多いが、6歳の猫で診断されたこともある。
この病気を起こしやすい品種や性別というものはない。
<どんな事に気をつけるか>
・食欲が増しているにもかかわらず、体重が減る。
・落ち着きがない。
・活動性や興奮性の増加
<診断>
甲状腺ホルモン(T4)の測定をするという簡単な血液検査によって、診断ができる。
あなたの獣医師はまた、以下のような病気の可能性を除外するために、別の検査も行うかもしれない。例えば、
・完全な病歴聴取及び身体検査
・完全血球検査(CBC)及び生化学検査
・胸部レントゲン
・診断しにくいケースではT3抑制テスト
・いくつかのケースでは放射線核種スキャン検査(全身的あるいは個別の臓器のスキャンに用いられる。
<治療>
甲状腺ホルモンの分泌が過量になるのを抑えることが治療の目標であり、いくつかの要因を考慮して、さまざまな方法
が考えられている。
それにはまず、あなたの猫の全身状態や、放射性ヨード療法が可能かどうか、そして費用の問題等を考慮する必要
がある。
治療には主に三つの方法がある。
・放射性ヨード療法
・異常な甲状腺を外科的に除去する。
・甲状腺機能亢進症の徴候を和らげるためのタパゾールや、βーアドレナリンブロッカーのアテレノールによる、
内科療法
<家庭での看護と予防>
家庭ではあなたの獣医師が指示した薬物を必ず与えてください。もしあなたの猫がタパゾールを飲んでいるなら、
食欲不振という副作用の可能性があるが、これは肝障害に関係があるかもしれない。
原因が不明なので、予防法はない。しかしながら、年をとった猫では、どんな獣医師でも甲状腺関係の検査を
すべきである。もしあなたの老猫に体重減少が起きているなら、あなたの獣医師はこの病気を疑って、甲状腺ホルモン
の検査を勧めるだろう。