骨折

<はじめに>

骨折と言うのは骨の破壊やひびのことである。

一般に骨折と言えば足に生じるものをいうが、頭蓋や肋骨、骨盤や指の骨にも起こることがあり、

長い骨だけでなく、前後肢の小さな骨にも発生する。

 

事実あなたの犬の骨はどの部分でも骨折する可能性があり、ある種の骨、例えば脊椎骨の骨折などは優先して

治療する必要がある。

骨折によって起きる徴候は傷害を受けた体の部位と、他臓器の傷害の程度によって決まる。

骨折は普通何らかの外傷に伴って起きるが、病的骨折というのは比較的わずかな力がかかっただけでも、

起きる事がある。

例えば、腫瘍や、くる病のような代謝性疾患によって、骨がすでに弱くなっているようなときである。

ある品種ではまた、解剖学的な構造や、使われ方によって、特定の部分に骨折を起こしやすい傾向にある。

(猟犬やレース用の犬等)

骨折に伴って他の部位にも傷害が起きるので、それらのチェックも同時に欠かしてはならない。

もしあなたの犬が骨折していると分かれば、すぐに治療する必要があると思うかもしれないが、

骨折それ自体では緊急に治療する必要はめったにない。

最初にすべきことはショックや、神経的な問題、内臓損傷の可能性を調べる事である。

 

<注意すべき点>

   ・麻痺

   ・極端に弱ったり、沈鬱状態

   ・呼吸困難

   ・腹部の不快感や膨張

   ・精神状態の変化

 

<診断>

骨折の状態を理解し、治療するために必要な検査法には次のようなものがある。

   ・完全な病歴聴取と身体検査

   ・傷害をうけた部位とその周辺のレントゲン

   ・外傷を受けた動物では特に、内臓損傷の可能性を除外するための胸部および腹部のレントゲン

   ・内臓の損傷や病気、あるいはショックの影響などを系統的に把握するための血液検査

 

<治療>

あなたの犬の全身状態に基づき、獣医師はスプリントや包帯などを使って骨折部を安定させるための仮固定を行う。

患者の状態が安定してはじめて、骨折部の修復について検討される。

その際、より専門的な整形外科医の意見を仰ぐ事もある。

修復の方法は次に述べるいくつかの要素によって決められる。

   ・骨折の種類や期間

   ・骨折部位

   ・多発性骨折の存在

   ・患者が動き回る事が予想されるかどうか

   ・年齢

   ・オーナーの経済状況と承諾

   ・外科医の経験

 

最終的な骨折の治療にはもちろん、外科処置を伴わない副子などを使った固定なども含まれる。

外科的な方法と言うのは、金属製のピン、ワイヤー、プレート、ネジ、釘、あるいは固定器具を使う方法の事である。

こうした外科手技というのは完全に機能を回復させるために最も優れた方法である。

 しばしば用いられる器具

   ・ピン、ワイヤー

   ・プレート、ネジ

   ・インターロッキングネイル

   ・外固定器具(E.S.F)

E.S.F.というのは皮膚を貫通して骨に通したピン同士を固定する方法である。

一連のクランプや棒や、リングが、主な骨折片を安定化させるために用いられる。

 

進んだ獣医師の手術法は人間の患者に喜ばれている方法と技術的に変わりがなく、ある種の骨折の修復においては

値段の高い素材(インプラント、プレート、固定子)が用いられている。

最も理想的な治療法はどうしても高くなる傾向にある。

もし治療や手術にかかる費用が問題であれば、まず、治療の選択肢について獣医師によく相談すべきである。

しかしながら、理想と程遠い治療法を選択した場合、治る可能性がより低くなることや、その後もたびたび、

同じ問題で獣医師のもとを訪れる事になる事を覚えておく必要がある。

あとで度々訪れる費用がかさむので、結局は高くつくこともある。

 

<家庭での看護>

獣医師のすべての指示に従い、包帯やギプス、そして傷の状態に特に注意を払うべきである。

赤くなったり、腫れたり、手術部から液が出ていないか注意してください。

包帯やスプリントやギプスは常に清潔で乾燥した状態にしておくべきである。

もしそれらがゆるくて、濡れているようなら、しないほうがましである。

獣医師の指示通り、再評価に来院してください。

骨折がちゃんと治っているかどうかを確かめるためにレントゲン撮影が行われます。