呼吸が苦しそう

室内で飼われているワンちゃんが昨夜から息苦しそうだということで来られました。

丸々と太っていて一見元気そうなのですが、呼吸の状態が悪く、チアノーゼを起こしていました。

とりあえず、酸素室に入れて状態が落ち着いてからレントゲン検査をしたところ、

胸水が溜まっており、左の肺が確認できないほどでした。

片側の胸から管を入れて約150ccの胸水を除去すると、幾分呼吸は落ち着いたのですが、

レントゲンでは依然として肺水腫が存在し、心陰影が確認できませんでした。

飼い主さんに状態を説明していると、横で話を聞いていた息子さん(小学校一年)が

一言、「ハイスイシュ?前の犬もそれで死んだの?」と聞いてこられます。

実は一年前にもこのお宅のワンちゃんが呼吸困難で来られたことがあり、

そのときは、来院時に心肺停止状態で助けられなかった苦い思い出がありました。

その時にも息子さんの前で肺水腫の説明をしたらしく、肺水腫という言葉だけは鮮明に覚えておられたようです。

今回のワンちゃんは酸素吸入と内科処置で翌日には元気になり、内服薬を継続する事の重要性を説明して

退院していただきました。

実は一年前に亡くなったこのお宅のワンちゃんも前から心不全で、薬を飲ませておられたのですが、

しばらく薬をやり忘れていたために、容態が急変したようです。

今回元気になったワンちゃんをしっかり抱いて帰られる息子さんの後姿が、ひときわ頼もしく思えました。