外耳炎
<はじめに>
外耳炎、つまり外耳道の炎症は犬でよく見られる状態である。
それは外耳道を構成する軟部組織の炎症の炎症ということができ、特に毛の長い、耳の垂れた犬種に、
起りやすい。
すべての犬の20パーセントがこの外耳炎になっているという報告もある。
いくつかの要因によって、あなたの犬は外耳炎を起こしやすくなる。例えば、
・耳の構造や解剖学的な異常
・耳の中に水や異物が入る事
・アレルギー
・外傷
・腫瘍
・寄生虫
・自己免疫性疾患
・全身性の皮膚病
感染はカビや細菌、寄生虫によって起こる。
あなたのペットの場合、何が原因になっているのかを検査が明らかにしてくれる。
外耳炎にかかりやすい犬と言うのはまず、遺伝的に異常な耳道の形をしている犬種、たとえばチャイニーズ
シャーペイなどがある。そして、プードルやテリヤのように耳の中にも毛が生える犬種や、外で飼われていて、
水や異物が耳道に侵入しやすい犬、あるいはダニの感染をうけやすい犬たちもやはり、外耳炎にかかりやすい。
<注意すべき点>
・耳を掻いたり、こすっている。
・頭を振っている。
・耳道がいやな臭いがしたり、液が出ている
・耳を触ると痛がる。
<診断>
獣医師はまず、基になっている原因を決定し、その後に続けるべき処置を説明する事になる。
検査には次のようなものがある。
・完全な病歴の聴取と特に耳や皮膚の状態に注意を払った身体検査
・細胞診 これは耳の分泌物や塊を採取し、顕微鏡で調べる事である。
いくつかのペットでは異常を起こしている原因を調べるため、更なる検査が必要になる事がある。
治療に対する反応が悪くて、たびたび耳の感染を起こすペットや、皮膚全般に問題のあるペットあるいは
他の健康上の問題を抱えているペットではさらに、診断的検査が必要になるかもしれない。
それには次のようなものがある。
・培養及び感受性テスト この方法は耳の分泌物を採取して検査室に送り、その中に存在する細菌を
同定する事である。そしてそれらの細菌が、どの抗生物質に対して最も
感受性が高いかを調べるのである。
・耳道と骨の健康状態を知り、その広がり具合を明らかにするためのレントゲン検査
・感染をおこす原因になっている要因をチェックするだけでなく、同時に存在する他の病気の有無を調べる為
に、完全血球検査や生化学検査が行われる。
・皮膚テスト
・皮膚だけでなく、耳が痒くなる原因となるアレルギーがあるかどうかを調べるためのアレルギーテスト
<治療>
外耳炎の治療には次のようなものがある。
・耳をきれいにする これには自宅で自分のペットの耳の中に洗浄液を入れる方法と、獣医師に耳道を
洗浄してもらう方法とがある。
ひどい感染を和らげるためには鎮静処置をして、病院で洗浄する必要がある。
・局所療法 普通これは耳道内に薬物を一日に1〜2回入れることである。
感染の原因によって、薬物の種類や方法が異なってくる。
獣医師の指示に対して注意深く従うことが特に重要である。
・痛みや炎症を和らげるための全身的ステロイド療法
・ひどい細菌感染あるいは潰瘍がある場合には抗生物質療法
・酵母菌による感染がひどい、あるいは長引く場合には抗真菌剤療法
<家庭でできること>
獣医師の治療をうけたうえで、家庭でもケアをすることが最高の治療である。
ペットの耳に薬物を入れる方法について、あなたの獣医師に実演してもらうのが良い。
・綿棒は最初に使わない方が良い。それは分泌物や垢を耳のさらに奥まで押し込んでしまうかも知れない
からである。
薬を入れる前に耳道をきれいにしましょう。
・必要であれば経過観察のために獣医師にみせましょう。
家庭において、あなたのペットの耳を特別にケアすることで、耳の状態を健康に保つ事ができる。
洗ったり、水泳したあとは耳を乾かし、耳の中に異物が残ってないか確認しましょう。
いずれにせよ、耳を掻いたり、頭を振ったり、腫れたり、臭いがしたり、分泌物が出たりしていたら、
まず あなたのペットの耳を獣医師に診てもらいましょう。