目が赤い

大型のわんちゃんがやや元気なく、片目が赤いとのことで、来院されました。

診察してみると、片目の結膜部分には充血はなく、前眼房(いわゆる黒目の部分)に血液が貯留しており、

ほぼ吸収されかけている状態でした。

どこかで目を打撲するような事故がなかったかお聞きしましたが、特にそのようなことは思い当たらないとのことでした。

ところが、歯茎を見ると真っ白で、かなり貧血している様子なので、血液検査をしてみると、バベシアという寄生原虫が

発見されました。

これはダニから媒介される血液の病気で、溶血による黄疸や貧血が進行すると、死亡する事もある、怖い病気です。

貧血や肝機能を改善するための輸液や、バベシア原虫を駆除するための皮下注射を行って、

通院していただくことになりました。

現在わんちゃんの体にダニはおらず、過去にもダニがついているのを見たことがないとのことですが、

おそらく去年の秋口から暮れにかけて、寄生したダニから感染したものと考えられました。

去年の夏までフロントラインをつけておられましたが、秋口になって、涼しくなってからはやめていたそうです。

やはり冬でもダニはいるんですね。

          

    ↑これが赤血球の塗沫標本で、真ん中に白く抜けた中の黒い部分がバベシア原虫です。